*以下、SCD・MSA全国患者連絡協議会ニュース第5号より引用
2022年5月30日(月)、衆議院第一議員会館多目的ホールにおいて、脊髄小脳変性症(SCD)・多系統萎縮症(MSA)全国患者連絡協議会(以下「連絡協議会」という)として、厚生労働省へ要望書(4面)を提出しました。
新型コロナ感染防止の観点から、当日は連絡協議会側からは現地に10名、リモートで14名が参加しました。また、辻省次先生(東京大学名誉教授・国際医療福祉大学教授)には要望書の補足説明をお願いしました。
国会議員の目の前で訴える
開会にあたって連絡協議会共同代表で近畿SCD・MSA友の会の新保会長が主催者挨拶を行い、続いてご臨席された田畑裕明衆議院議員(自由民主党)と宮本徹衆議院議員(日本共産党)にご挨拶をいただきました。
田畑議員は、地元のとやまSCD・MSA友の会が今回の紹介議員をお願いしたところ快諾され、日程や会場の確保、担当部局との調整にご尽力いただきました。宮本議員は、当初出席を予定していた同党・高橋千鶴子議員がご都合つかずになったため、誰も行かないというわけにはいかないと、急遽駆けつけてくださいました。
要望書については、項目ごとに連絡協議会側の各担当から補足説明を行い、それぞれ厚労省や担当部局から回答、質疑という形で進みました。
両議員とも熱心に耳を傾け、終了後に私たちを労ってくれたのが印象的でした。
主催者挨拶
国として私たち患者と共に歩んでいただきたい
共同代表 新保 健次
SCD・MSA全国患者連絡協議会の新保と申します。私は脊髄小脳変性症患者で当事者であります。病状のため座っての挨拶になりますことをご容赦ください。
まず初めに、ご多忙の中、本日この場を設定していただいた田畑裕明先生には感謝申し上げます。また、宮本徹先生と早稲田夕季先生および小森卓郎先生の秘書の方にご臨席いただけたことに、大変心強く思っております。
脊髄小脳変性症、多系統萎縮症という疾患は進行性の神経難病です。私は今日、妻の助けを借りて、自分の足で歩いて来られましたが、そう遠くない将来には車椅子で来ることになるかもしれません。
この疾患は、発症して間もないころは健常者とほぼ同じことができますが、徐々に進行し数年で日常生活に支障をきたします。
私たち患者は、この病気と診断を受け、病状が悪化することではじめて特定医療費受給者証や身体障害者手帳など、社会的な医療費助成等のサービスを受けられます。
しかし私たちは診断を受ける前や病状が悪化する前である軽症の時期、すなわち就労ができる時期に、「歩くことが不安だから」「公共交通機関を利用することが不安だから」「何か話し方がおかしいこと、不器用な動きをすることを人に気づかれないか」と不安で、社会から距離を置いてしまうのです。同病の患者が多く悩んでおります。
進行性難病である私たちの病気、病状を社会に受け入れてほしい、知ってほしい。そういう思いで本日は要望書を提出いたします。国として私たち患者と共に歩んでいただきたく思っております。
これで挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。
紹介議員を引き受けて
衆議院議員 田畑 裕明
SCD・MSA(難病)の患者さんや家族会の活動に少しでも力添えできればとの思いで要望活動の窓口を引き受けさせていただきました。
難病対策に関しては様々な課題があります。要望でも頂いたように支援が十分でないことはもちろんですが、何といっても国民の難病に対する認知度が低いことが課題だと考えます。高血圧や糖尿病等はたくさんの情報に触れることができます。しかし、難病に関しては「自分とは関係のないどこか遠い存在」になっているように感じます。患者さんやそのご家族、周りの方々がどのような思いをされ、どのように生活しておられるのか、国民の理解を高める必要があると考えます。また、早急な治療薬の上市を期待しております。
皆さまが生活しやすい環境作りに少しでもお役に立てればと思います。
出席された各地の友の会から
質の高い難病リハビリ研修を
(島根ひとまろ会 水上真一)
内外の研究実績、患者・家族の実態をもとにした施策で長期的と短期にすべきことがわかりやすくまとめられていたと思います。
次回の陳情の際、「前回陳情したことは現在どうなっているか」が質問しやすくなっています。
特に関心を持ったことはリハビリに関することでした。認識の足りない医療従事者(医師も含む)、介護従事者に対する質の高い難病研修が急がれる。利用者が信頼してサービスの提供が受けられるために、難病リハビリの診療報酬改定が急務と思いました。選択肢の少ない地方は特にそうです。公平な治療を受けるために。
医療後進国と言われないよう
(いしかわSCD・MSA友の会 上田啓司)
要望内容は精査されており、よく吟味されていたと思う。
日本の政策の実行は兎に角、時間がかかるが、これらの要望を早く取り入れて実現できるよう切望する。
コロナ対策では、検討したのか、しなかったのかフットワークの良すぎる政策があったように思うが、我々が困っている病気に対して、研究予算を先進国並みにし、医療後進国と言われないよう国はもっと目を向けてほしいと感じた。
車椅子生活の身としては、直接陳情に行けないが、リモートで参加することが出来たことは大変良かったと思います。
患者会と国が真剣に向かい合った
(北海道であい友の会 柴田恵子)
私はオブザーバー参加団体の一員としてZoomにて参加させていただきました。
全国の患者会の要望と厚生労働省担当者とのやり取りは緊張感の中に粛々と行われ、我々患者の要望をどれだけ受け入れて貰えるのか?でした。両者の真剣に向いあう様子を拝聴しているうち、1人でも多くの声を上げ続ける事の重要性を感じました。
今回の要望の説明文書に、私共の旭川地区連絡会の長年に渡る地道な活動を載せて頂いたり、SCD・MSA全国患者連絡協議会としての活動の意義を併せて感じました。
内容の濃い面談でした
(北海道であい友の会旭川連絡会 林猛志)
時間の制約から要望項目を絞り、関係当事者が発言することで内容の濃い面談でした。 また、党派を超えた国会議員の臨席は、今後多方面で影響が大きいと感じました。
厚労省へ対するこの様な活動は、全国の患者・家族の一縷の望みです。機関紙等を通じていち早くお知らせ願います。オンラインで貴重な機会に参加させて頂き感謝します。