SCD・MSA 全国患者連絡協議会とは?(№42 20211208)

 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の患者会としては、1977 年に東京で「全国SCD 友の会」が結成されたのが最初です。続いて1991 年に「近畿SCD 友の会」が東京より独立し、以後いくつかの地域で友の会が結成されています。私たちの「わかち会」も2008 年に誕生しました。
 それぞれの友の会では、この病気に悩む患者や家族が集い、励まし合い支え合ってきました。そしてこの疾患に対する医療の進歩や、保健、福祉の拡大など私たちの願いを国に伝えるため、他の難病団体のように全国組織の必要性が叫ばれるようになったのです。

全国の友の会が力を合わせること
 このSCD・MSA 全国患者連絡協議会は発足してからまだ3 年です。これからは、全国の友の会が思いを一つにして、治療薬開発や難病制度の改善を国に働きかけるとともに、友の会同士の連携や交流をすすめていけるものと思います。


2014 年、準備会としてスタート
 2014 年に全国組織を作ろうという機運が高まり、SCD・MSA 全国患者連絡協議会準備会としてスタートしました。その後数回の会議を経て、2018 年6 月、準備会という名称を外して正式に発足しました。
 この連絡協議会の特徴は、大都市の会員数の大きな友の会も、小さな地方の友の会も対等平等に議論できることです。また各友の会の事情や特性に応じて、ムリのない参加の仕方ができるように配慮されています。

2018 年、厚労省に要請活動

左から厚労省、尾辻、丸川、川田議員と共同代表

 協議会として初めて厚労省への要請を行ったのは2018 年6 月12 日です。協議会側が14 人、厚労省側は17 人が出席しました。
 事前に申し入れた要請項目について厚労省の担当者が真摯に説明する姿に、やはり全国の患者を代表する団体に対して安直な態度はとれないということを実感しました。

主な要請項目
1. ロバチレリン、コエンザイムの治験状況は?
2. iPS 細胞等への国の予算の大幅増額を
3. 特定疾患医療費助成の手続き簡素化を
4. 軽症者が特定疾患の認定を受けられない現状の見直しを
5. 新薬承認はできるだけ早く審査、認可を
6. 難病、特にSCD/MSA のリハビリ充実を
7. 難病拠点病院の整備を
8. 特定疾患受給者証に「付随して発生する傷病」も対象とあるが都道府県によって基準があいまい、患者に寄り添った基準に指導を

 翌2019 年6 月10 日は、連絡協議会に加盟する5 団体の代表が要請行動に参加しました。2020 年7 月の要請行動では、新薬「ロバチレリン」の早期審査および承認を求め、東大大学院の辻省次先生にも同席いただきました。
 このように協議会は、発足以来精力的に厚労省への要請活動を行っています。


わかち会も積極参加
 当会(わかち会)は、全国友の会が主催する医療講演会が2015 年に富山で開催された際に、準備会に参加しました。
 その後の協議会の会合にも2017 年1 月、2017 年11 月と出席し、2018 年6 月の厚労省要請行動には2 名が参加しました。
 その時の要請項目8「(転倒によるケガなど)この疾病に付随して発生する傷病が特定疾患の対象となる運用に地域差があるので指導を徹底してほしい」という内容も、わかち会から協議会に上げた内容です。

リモートで手をつなぐ
 2020 年初頭から新型コロナウィルスの感染拡大に伴う社会的自粛要請で、どの患者会も活動を抑制せざるを得ませんでした。
 一方で、社会のあらゆる分野で対面からリモートへの移行がすすみ、わかち会も交流会を2020 年10 月から、Zoomというリモートアプリを利用しながら対面参加とリモート参加の併用で再開しました。
 また、いしかわSCD・MSA友の会主催の医療講演会に富山や福井からリモート参加する過程で、北陸3 県の友の会がZoomやライングループでつながり、日常的な交流ができるようになりました。

エリアミーティング
この北陸のやり方を発展させて、連絡協議会のエリアミーティングが2021 年秋から始まりました。インターネット(Zoom)を活用したこのエリアミーティングは、各地の友の会の人たちにも歓迎され、連絡協議会としても情報交換と相互理解を深めるツールとして力を入れていく計画です。

もうすぐ新薬が
 ロバチレリンに続きもうすぐ治験が終わる新薬が2 つあります。「すみやかに審査と承認を」「新薬を差別なく使えるように」「早期発見・早期治療が行えるよう、進行性難病は軽症でも確定診断で即特定疾患の認定を」 SCD・MSA全国患者連絡協議会は、患者・家族の切実な声を国に届けます。


身近にもある要請活動
 「要請活動」って聞くと、何かお上に向かってたてつくようなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。でも私たちの日常生活でも不都合が生じたとき、そんな場面はよくあります。以下、私の経験を紹介します。
 近くのスーパー大阪屋がリニューアルオープンした際、それまで専用の入り口・出口だったのが二つとも両用となっていて、すれ違いできないクルマで大渋滞でした。本部にメールで元に戻すよう「要請」すると、なんと「お客様の利便のために警察と相談して変更した」との返事。しばらくしてから「Mさまのご指摘の通り元に戻すこととしました」「今後ともご指導ご鞭撻をよろしく」と丁寧なメールが届きました。
 幹部の人たちは良かれと思って変更したのですが、現場をよく知らないのですね。利用者の要望を伝えるってとっても大切なことです。
 もう一つ。わかち会の交流会で利用しているサンシップとやま。3年ほど前、障害者のための施設なのにWiFi設備がないことに気づきました。施設を管理する社会福祉協議会や県庁の担当部署にその必要性を訴えましたが、電話の向こうは気のない返事ばかり。でも、いつの間にか使えるようになっていました。
 患者会が粘り強く要望していくことが、国や相手を動かす力になっていると思います。(M)