漫画「少年時代」を読み返して (boku)

 

先日、藤子不二雄Aさんによる漫画「少年時代」を久し振りに読みました。
初版発行が1989年ですから、もう30年以上前の作品です。
この作品は芥川賞作家の柏原兵三さんの小説「長い道」を原作として、藤子さんが自らの体験や創作を加えて完成した長編漫画です。
柏原さんの小説の舞台は疎開先の富山県の入善町ですが、藤子さんも同じ時期に近くの朝日町に疎開していました。その頃の体験に共感を覚えたことが漫画化するきっかけであったと言えます。

東京から富山県の山村に縁故疎開してきた主人公の進一少年が、田舎の習慣や学校での友人関係と葛藤する1年間の生活を描いた物語です。

小学5年生の進一は引っ越してきたばかりの夏休みに、タケシという同学年の少年と親しくなる。
タケシは男子クラスの級長をしており成績優秀であるが、粗暴で高圧的な態度をとることがある。半面、進一に対しては他の同級生に対するよりも友好的な態度で接してくれることも多かったが、このように二面性を持つタケシに振り回されることになる。
最終的には、反感を持った同級生たちによるクーデターによりタケシは制圧され、権力の座を失うことになる。
打ちのめされたタケシに対して進一は制圧されたことによる安堵感と同時に無念さも感じていた。
良くも悪くもタケシの影響を感じつつ、葛藤を繰り返しながら終戦を迎え、進一は東京に帰って行く。
物語は進一が34年ぶりに富山の疎開の地を訪れるシーンで終わる。
そして後に、タケシが交通事故で死亡したという事実を知ることになる。

漫画が発刊された翌年、映画「少年時代」が上演されました。山田太一・脚本、篠田正浩・監督。
富山の子供たちも出演していました。
そしてこの映画の主題歌「少年時代」は井上陽水で大ヒット、映画を離れたところでも名曲として認知され中高年定番の曲となっています。
  夏が過ぎ風あざみ
  誰のあこがれにさまよう
  青空に残された私の心は夏模様
  …

今年も夏が過ぎようとしています。
コロナと災害に苦しめられた夏。