中央植物園でコロナを考える(S・M)

 4月7日、前日までの寒さとうって変わってポカポカ陽気。絶好のリハビリ日和でしたので県中央植物園に出かけました。ここなら三密を避けて安全に過ごせます。例年ならばソメイヨシノ、ヤマザクラ、枝垂れ桜、花桃、八重桜の見ごろは時間差があるのですが、今年は八重以外が一斉に咲いていました。これも記録的な暖冬、異常気象のせいでしょうか。

ソメイヨシノの並木(画像は拡大可)

 妻にとってここはお気に入りの場所。園内全域がバリアフリーなので歩行器を使って健常者並みに動けるからです。ソメイヨシノの並木、源平しだれ桃、ヤマザクラのトンネルなど、今日も気に入った所で立ち止まったり戻ってみたり、気儘(きまま)に動けるのでとても上機嫌でした。妻は家にずっといて外出することが少ないと股関節が固くなる感じがすると言います。これからの季節はできるだけ連れ出そうと思っています。

手前は源平花桃(画像は拡大可)

 この病気に対し私たち患者側ができることは、リハビリだけです。専門家による理学療法的なものだけでなく、日常生活のすべてにおいて、その時点でできることはなるべく自分でやるようにするのが「生活リハビリ」というのでしょう。しかしそれは一方で転倒リスクも高めてしまうことになります。転倒→骨折を怖れて安全第一に

ヤマザクラのトンネル(画像は拡大可)

徹するか、廃用症候群が進まないよう多少のリスクを背負うか、これはトレードオフ、すなわち両立しない関係性です。両者をどうバランスをとるかはその人の人生観にもよりますが、情報を集めてより安全な生活リハビリを行うのが理想かと思われます。

 私たち難病患者とその家族は、コロナ対策も同じように考えることができるのではないでしょうか。治療法や特効薬ができるまでの間、爆発的流行(転倒による骨折)を起こさないようにしながら、社会システムの崩壊(廃用症候群)を防ぐことが大事なのではないかと。個々には三密を避けることを徹底しながら過剰反応せず社会参加を続けることです。コロナの不安にかられた人々の罵り(ののしり)合いや過剰反応などは、私たちが難病の確定診断を言い渡された直後の混乱や不安、絶望感に打ちひしがれた状態に似ているように感じます。