*以下、SCD・MSA全国患者連絡協議会ニュース第10号より引用
一日も早く新薬を使えるよう
緩徐進行性難病にふさわしい治験のやり方を求めます
2024年6月11日(火)、衆議院第二議員会館第1会議室において、脊髄小脳変性症(SCD)・多系統萎縮症(MSA)全国患者連
絡協議会(以下「連絡協議会」)として、厚生労働省へ要望書を提出しました。
当日は連絡協議会側からは現地に15名、オンラインで13名が参加しました。
与党・野党の垣根を超えて
開会にあたって、連絡協議会共同代表で近畿SCD・MSA友の会の新保会長が主催者挨拶を行い、続いてご臨席された田畑裕明衆議院議員(自由民主党)と宮本徹衆議院議員(日本共産党)からご挨拶いただきました。
田畑議員には、今回の要望活動(陳情)の日程や会場の確保、担当部局との調整にご尽力いただきました。宮本議員は厚生労働委員会の理事として、超党派で取り組む決意を述べられました。
要望書については、項目ごとに連絡協議会側から補足説明を行い、それぞれ厚労省の担当部局から回答、質疑という形で進みました。
若い患者さんが国に直接訴え
今年は加盟団体から20代、30代の患者会員が参加し、自身の病気や失った家族のこと、働くことの困難さを直接訴えました。
とやまSCD・MSA友の会の谷口沙也加さんは37歳、この病気で母をなくし3年前に妹さんも旅立ちました。彼女自身はいま懸命にリハビリに励んでいます。「治るなんて贅沢言わないから、これ以上悪くならないでほしい。新薬が承認されれば、私のささやかな夢に一歩近づくことができるかもしれない」と涙声で訴えました。
近畿SCD・MSA友の会の大浦正司さんは28歳。大学三年時に診断を受け、就活では病気のことを伝えるとすべての企業で門前払い。パート勤めをしながら心機一転、障害者向け転職サイトに登録し、リモート可能な企業を探していますが、難しそうです。
「どうにかして自活できるようになるのが私たちの願いです」と、同世代の仲間たちの声も併せて厚労省に訴えました。
要望書および説明文はこちら
協議会側の説明と国側の回答はこちら(工事中)
主催者挨拶
国として私たちと共に歩んでください
共同代表 新保 健次
SCD・MSA患者連絡協議会の新保でございます私は脊髄小脳変性症の患者であります。はじめにご多忙の中、このような場を調整していただいた、たばた裕明衆議院議員に御礼申し上げます。そして、宮本徹衆議院議員にはご臨席いただき、ありがとうございます。
私は2022年より参加しています。その時は妻の介助のもと、自分の足で大阪から東京まで移動して参りました。その2年後、本日は電動車いすを利用して参りました。年々症状の進行を自覚しますが、運動失調の評価スケールであるSARAではそれほどの進行がみられません。
現在開発中の新薬は、根治するものではありません。それらを短期的な効果としてSARAで評価していますが、脊髄小脳変性症や多系統萎縮症の疾患の特性を考慮すると、長期的な効果で評価すること、プラセボを使用しないことが重要であると考えています。
項目2で治験方法について要望を挙げています。ぜひ我々の手元に1日も早く新薬が届くよう、本日の回答を期待しております。また、リハビリテーションについても項目4に、就労に関して項目5で挙げています。これらの要望はわれわれ患者が、少しでも長く社会と関わり続けられるため、中途で社会生活をあきらめないためのものであります。本日は若年発症の仲間も声を届けるために来てくれました。直接声を聞いてください。
われわれの一番の夢は脊髄小脳変性症、多系統萎縮症の根治、疾患から解放されることであります。しかし現実的にはそうではありません。神経難病患者が神経難病であることを安心して開示できる世の中にしてください。我々に将来設計ができるような夢を持たせてください。2年前にも申し上げました。国として私たちと共に歩んでください。
本日は限られた時間ではありますが、よろしくお願い致します。
国会議員の方々の挨拶
衆議院議員 田畑 裕明
共同代表の新保さん、中村さんをはじめ、全国の患者会のお世話をなさっている方々が、今日こうして上京されたことに敬意を表したいと思います。
私も事前に要望書を拝見しました。様々な生活上・医療上の措置についてのお話、生きていく上での就労、働くことというのは大変大きな分野ではなかろうかと思っています。また進行を止めるお薬の開発も何よりもみなさま待たれているところかと思います。
昨今、薬のいわゆる新規のモダリティー(※)、薬の開発・研究も劇的に変わってきていて、今までの思考回路や延長線上とは違った形で難病の薬、革新的な新薬について様々な分野で研究開発が進められています。
どちらかといえば日本の製薬分野は少し遅れているのではないかと理解しておりますから、しっかりと後押ししながら、難病でお苦しみの方々が、少しでもQOLの改善をしながら、将来性を見定めて生活できるような基盤づくりのために、政治もしっかり動かなければいけないと思っているところです。
毎回この要望には宮本徹先生にもご同席をいただいておりまして、超党派で取り組んでいかなければいけないと思っています。
役所のみなさま方も全て解決するというのは少し時間がかかると思いますが、しっかりと受け止めていただいて、患者さんの目線に立っての取り組みを心からお願いしたいと思います。今日は実りのある意見交換会にさせていただければと思っています。
衆議院議員 宮本 徹
衆議院議員の宮本徹です。研究開発予算を増やしたり制度の改善を図るには、やはり超党派で進めたいということで、自民党の対局にいる共産党が来るのが大事だろうと、毎年この場に同席させていただいています。
私も事前に要望書のご説明を受けまして、治療薬の開発については、緩徐進行性の疾患に相応しい進め方、治験の在り方をぜひ研究していただきたい。また就労にあたっても差別なく働く機会が増えるようにしていきたいと思います。病気をお持ちの方は、様々な負担がありますから、臨個票を含めて負担の軽減を図っていただきたいと思います。
ヘルパー不足のお話がありましたが、これは介護全体に関わる問題で、先日、厚生労働委員会では全会一致で、介護報酬はマイナス改定だということで早期に検証して必要な措置を取ること、という決議をしたところです。こうした問題は超党派でしっかりと取り組んでいきたいと思います。
出席者
(国会議員)
田畑 裕明・衆議院議員(自由民主党)
宮本 徹・衆議院議員(日本共産党)
小森卓郎衆議院議員秘書(自由民主党)
田中昌史参議院議員秘書(自由民主党)
(関係部局)
山田章平・厚労省難病対策課 課長
中井清人・厚労省医薬品審査管理課 課長
他、厚労省担当部局より14名
(連絡協議会・会場参加)
中村 元子・全国SCD・MSA友の会 会長
丸山 裕美・全国SCD・MSA友の会 事務局長
岩崎 恵介・全国SCD・MSA友の会 事務局次長
平尾 智美・全国SCD・MSA友の会 理事
丸山 拓巳・全国SCD・MSA友の会 理事
新保 健次・近畿SCD・MSA友の会 会長
新保 一美・近畿SCD・MSA友の会 会員
酒井 祥吉・近畿SCD・MSA友の会 事務局チーフ
大浦なおみ・近畿SCD・MSA友の会 事務局
大浦 正司・近畿SCD・MSA友の会 事務局
松村 茂 ・とやまSCD・MSA友の会 事務局長
谷口沙也加・とやまSCD・MSA友の会 幹事
松本 蘭 ・いしかわSCD・MSA友の会 事務局補佐
松本 桐奈・いしかわSCD・MSA友の会 事務局補佐
木村 隆 ・いしかわSCD・MSA友の会 事務局次長
(連絡協議会・オンライン参加)
柴田 恵子・北海道であいの会 会長
大崎 栄子・北海道であいの会 副会長
林 猛志・北海道であいの会 旭川地区担当
大澤真寿夫・北海道であいの会 旭川地区担当
大栁 文行・青森SCD・MSA友の会 事務長
和田 能卓・全国SCD・MSA友の会 理事
萩森 彰一・全国SCD・MSA友の会 理事
竹内 孝士・長野SCD・MSA友の会 事務局
下坂 真之・福井ハレバレ会 会長
重松美生恵・東海SCD友の会 共同代表
金山 哲也・えひめSCD・MSA友の会 会長
弓 清治・福岡SCD・MSA友の会 会長
小川 志穂・長崎SCD・MSA友の会 事務局