転倒確率、SCD・MSAは100%、健常者は0.7%(S・M)

私たちの病気に転倒はつきもの。というか、転んだことがないとしたら脊髄小脳変性症の患者ではないでしょう。

転倒して後頭部を治療、いつもの病院で特定疾患の適用を断られた
いつも投稿してくれるUさんが、先日転んで後頭部に裂傷を負い、いつもの病院で治療を受けました。そしていつものように特定疾患の受給者証を提示すると「今回は適応外」と言われ、通常の支払いになったそうです。Uさんは、病気のせいで転んだのに、と納得がいきません。

付随して発生する傷病ではないのか
受給者証には「この証の表面に記載された疾病及び当該疾病に付随して発生する傷病に関する医療に限られています。」と書いてあります。この表現を素直に読めば、転倒は脊髄小脳変性症の典型症状で、その転倒によって発生したケガは当然対象となる、と私は思います。しかし現場では対象外とされるケースが多いのです。

私の妻が通所リハビリに通っている病院の整形外科の医師に、転倒によるケガが対象になるか聞いたことがあります。その医師は、「転倒したと言っても、つまづいたり、滑ったり、物があったり、いろんな原因があるからねえ。この病気のせいだと断言できないなあ」と、否定的な見解。一方、知り合いの外科医師は「病気のせいで転んだんだから対象になるに決まってるよ」と明快な回答。
つまり医師によってバラバラなんですね。厚労省からもガイドラインは示されていません。

もし妻が健康であれば転んだだろうか?
しかし、もし妻が健康であれば、こんなに繰り返し転倒することはない筈だ、という考えから調べることにしました。
資料は厚労省の「平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」。その第2章の3「自宅内における転倒事故」には、「年齢別」と「健康状態別」に、転倒の頻度が示されています。頻度は3段階です。
1) この1年間に一度も転んだことはない
2)   〃   一度だけ転んだことがある
3)   〃   何度も転んだことがある

60代で何度も転ぶ人は2.1%
表3-1をみると、60~64歳で「この1年間で何度も転んだことがある人」は1.4%、65~69歳では2.8%とあります。平均すると60~69歳では2.1%となると思います。(70歳以上の患者さんは歩行困難者が多いので比較しません)

健康状態の「良い」人は「普通」の人の1/3
いっぽう、健康状態の「良い」人は1.0%、普通の人は3.2%ですので、「良い」人は「普通」の人の1/3に減ります。

患者なら100%転倒するが、健常人でなら0.7%しかない
上記のデータから、60~69歳で「健康状態が良」の人が、1年間で何度も転倒する確率は、2.1%×1/3=0.7% すなわち、100人のうち1人にも満たないのです。一方でSCD・MSA患者なら100人のうち100人全員が転倒を繰り返します。

件の整形外科の先生と会話する機会があったら、下の表のコピーを渡しながらこう言いたいと思います。
「先生、妻はこの病気でなかったら、1年間で何度も転倒する確率はわずか0.7%です。95%以上の人が一度も転んでいない。厚労省の高齢者統計にそう出ています」(だから妻が転倒したのは病気によるものと考えるのが妥当じゃないですか?)

*関連記事「SCD・MSA全国患者連絡協議会の厚労省要請に参加して(2018.6.12)」はこちら