転倒→骨折を機に、住宅改修へ ② (S・M)

すばらしい出来栄え
わが家は妻の寝室が2階で、浴室はなんと地下にあるのです。そのせいか手すりが合計15カ所(他にレンタルで3カ所)、段差解消が1カ所と平均的な改修より大がかりになってしまいました。4月末に施工業者から提示された見積りは17万2千円。上限額の20万円を超えていないので自己負担は1割の1万7200円ですむことになります。私らは見積書にOKを出したことをケアマネのNさんに伝えました。

5月連休明けに提出した申請が通り、施工日は23日に決まりました。仕事は一人の大工さんがてきぱきとこなし、夕方にはきれいに片づけて帰られました。出来栄えは見事です。木造家屋に馴染む色と形状の部品を使っているのでとても自然です。施工前はあちこち手すりだらけになったら私には煩わしく動きづらくなるのかなと思っていましたが、まったくそんなことはありません。3日たったら自然に私も手を伸ばしていました。

片手が使えないだけでドンとさがるQOL
住宅改修は無事完了しましたが、妻の状態がなかなか回復しません。話は脱線しますが、たかが手首、されど手首です。片手がまったく使えないという事が、こんなにもQOLを下げるのかとつくづく思い知らされました。トイレは意地で一人で行ってくれましたが、起床後の着替え、寝具の整理(臨時的に1階座敷で寝てますので)、化粧の手伝い、食前の身支度、配膳の滑り止め、入浴前の脱衣、湯舟への誘導介助、三助、風呂上がりの身体拭き、着付け、ドライヤーなど、日常動作のほとんどが要介護状態となりました。歩行も常に何かに掴まってやっとでしたから、右手だけでは危なくて見ていられません。要支援からいっぺんに要介護3になった、と思えばいいでしょうか。

それまで朝昼晩の3食の準備と後片づけ、掃除全般、洗濯全般をこなしてきた私に急に妻の介護が加わったことで、私の堪忍袋がいっぱいになったのか、介護の一つひとつが荒っぽく投げやりになっていることを感じました。「骨折は治る、しばらくのがまんだ」と自分に言い聞かせ、なんとか乗り切りましたが、介護における虐待の心理状態が垣間見えた瞬間でした。ケアマネさんに冗談交じりに話すと、彼女の表情がさっと変わり「Mさん、何でも話してください、カウンセリングもありますから」と真剣に迫られました。それだけ現場では追い詰められた介護者が多いのでしょう。

骨折から2カ月近く経過した今はギプスもとれ、力を入れることはできませんが指を使って細かな動作ができるようになり、私の負担もだいぶ軽減されています。これからは手首のリハビリと同時に弱った足腰を鍛えるために、できるだけ外へ出かけるようにしたいと思います。